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夫とは、私が21歳のときから付き合い始めた。
いつでも自分が一番で、私を彼女扱いしてくれなかった元カレとは違い、夫は私を女の子扱いしてくれた。
例えば2人でスーパーで買い物をした帰り。
買った荷物を当たり前のように持ってくれる。
元カレなら、私がどんなに重たい荷物を持っていても知らんぷりだった。
例えばレストランに食事に行ったとき。
案内された席で私を必ず奥の席に座らせてくれる。
元カレだったら、我先にと奥の席に座ってしまっていた。
そういう些細な、本当に些細なことが、疲れ切っていた私の心に突き刺さった。
今まで元カレに嫌われたくなくて、繋ぎ止めたくて、必死に自分を殺してきた。
本当は荷物が重たければ持ってほしかったし、奥の席に座りたかった。
口が裂けてもそんなこと言えなかったけど。
それを、夫は私が何も言わなくても当たり前のようにサラッとやってのける。
私が夫を好きになるのに、時間は必要なかった。
あんなに大好きだった元カレが、一気に私の中から消えていった。
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