5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
2枚のレシートを手にしながら、しばらく呆然としていた。
頭の中は真っ白だった。
どうしたらいいか分からない。
まさかあの人が私を裏切るようなことなんてするはずがない。
心の何処かでまだ夫を信じたいという気持ちが残っている。
私は、フラフラとおぼつかない足でダイニングテーブルの椅子に座った。
数メートル先のソファーでは、相変わらずスヤスヤと寝息を立てる夫の姿が見える。
ふと、テーブルの上に置いてあった夫の携帯に目がいった。
夫の携帯なんて見たことがない。
見る必要性を感じていなかった。
でも今は…
無意識に、手が携帯へと伸びた。
当時はまだガラケーだった。
折り畳みの携帯をパカッと開ける。
夫は警戒心が薄かったのか、ロックをかけることもしていなかったので、すぐに画面が開いてしまった。
震える手で、メール画面を開く。
受信履歴を開くと、知った名前も知らない名前もズラッと並ぶ。
どうでもいいメルマガもたくさんあって、私が探すものがなかなか見つからない。
下へ下へとスクロールしていく。
そして、あるメールが出てきた瞬間、私の指が止まった。
私の知らない女の子の名前。
バイトの子達ともメール交換はしているし、私と出会う前に知り合った女の子のアドレスだってたくさん入っている。
だから私が知らない名前の人からのメールがあっても不思議ではない。
でも何故か、その人のメールで手が止まった。
あの、ファミレスのレシートの日付の翌日のメールだった。
私は、恐る恐るそのメールを開いた。
最初のコメントを投稿しよう!