タフィーナッツの月 5日

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タフィーナッツの月 5日

きょう、学校がおわってから、クラスのともだちの クレドのおうちに いった。 クレドのおうちに、あたらしい赤んぼうが やってきたと ゆうので、オレは、まだ、スノーマン族の赤んぼうとゆうのを みたことないので、みせてもらいにいったのだ です。 スノーマン族の村は、『さんくとす山』の ふもとに あります。 いつも粉雪がヒラヒラふってるのに、いつでも青空で おひさまが ぴかぴか ひかって、はれています。 スノーマン族の おうちは、氷と雪を かためて つくった まっしろい おうちです。 はじめて クレドの おうちに あそびにいったときは、「うわー、さむそう」と おもったけども、おうちのなかは、とても ぽかぽかして あたたかい。 赤んぼうは、とうめいな 氷の ベッドで、ねてた。 まっしろい ほわほわの ねまきに くるまってて、目をつぶって、すやすや ねていた。 ふくふくの ちっちゃい 手のゆびを、まんまるい ちっちゃい口で ちゅうちゅう おしゃぶり しながら、ねてたのだ。 赤んぼうというものは、やらかそうで、ちっちゃくて、ぬくぬく あったかそうで、かわいいものだと、オレは おもった。 スノーマンの赤んぼうは、さんくとす山の上にある、一番でっかいヤドリギの下に、うまれてくる。 それなので、スノーマンの村の おとなの おとこは、こうたいの『とーばん』で、まいあさ早くに、さんくとす山のテッペンにのぼるのだそうだ。 それで、赤んぼうをみつけた おとなの おとこは、自分の おうちで、その 赤んぼうを そだてるのです。 それで、きょうのあさは、クレドの おとおさんが、山にのぼる『とーばん』だったので、そうしたら、山のテッペンで、ヤドリギの下に 赤んぼうがいたので、赤んぼうは、クレドの おうちの こどもになったのだ。 ヤドリギの下に 赤んぼうが うまれたのは、すごく ひさしぶりだと ゆって、村の みんなも、いっぱい、赤んぼうを 見にきた。 「さいきんの にんげんの こどもは、雪が ふっても、ちっとも 雪あそびを してくれないからなぁー」 と、クレドの おとおさんが ゆった。 「このままだと、村の『じんこー』は、どんどん へってしまうなぁー」 と、べつの スノーマンの おとなが ゆった。 それなので、オレは、ふしぎに おもったので、 「なんで、にんげんの こどもが 雪あそびを しないと、『じんこー』が、へるのだ?」 と、きいた。 そうしたら、クレドの おとおさんは、 「われわれ スノーマン族は、にんげんの こどもが たくさんの『こーきしん』と『あいじょー』をこめて いっしょうけめいに 雪だるまを つくりあげてくれないと、この世に うまれてくることができないのですよ、若君」 と、ゆった。 こどもが いっしょうけめいに つくった 雪だるまが、はれた日がきて、おひさまの ねつで とけてしまったとき、その こどもが、さびしがって なみだを こぼすと、その なみだのつぶの『けっしょー』が、スノーマン族の 赤んぼうの『はーと』に なるのだそうだ です。 それだから、スノーマンの『はーと』は、とっても ちっちゃい なみだのつぶの形を してるのだそうだ。 それだけど、とっても とっても、かたくて、がんじょうで、あったかいのだそうだ。 「むかしは、にんげんの こどもは、雪が ふると 大はしゃぎで 外をころげまわって、たくさんの 雪だるまを こしらえてくれましたから、クリスマスの きせつになると、まいあさのように、ヤドリギの下に 赤んぼうが 生まれてきたものだったけれど。さいきんの こどもは、雪の日は さむいからと ゆって、うちから外に出ようとさえしない アリサマなのですからねぇ」 クレドの おとおさんは、そうゆって、太くて黒いマユゲを しょんぼりと したに下げた。 オレは、赤んぼうのいるへやを出てから、 「クレドの おとおさんは、ずっと かなしそうな顔を してたなぁー。赤んぼうが おうちに きたのだから、うれしいはずなのに」 と、首をひねった。 そうしたら、クレドは、ニコニコしながら、 「おとおさんの あの顔は、うまれつきなんだよ。ぼくたちスノーマン族は、にんげんの こどもが つくってくれた 雪だるまの顔と ソックリの 顔で うまれてくるんだ」 と、ゆった。 それなので、オレは、クレドの雪だるまは とても まんまるくて たのしそうな顔を してたのだと おもった。 クレドの顔は、まんまるで、いつでも とっても たのしそうだからだ。 それから、オレと、クレドは、おうちの 外で、かくれんぼうをして遊んだ。 それだけど、スノーマンは、みんな、まっしろい ふくをきてるし、はだの色が 雪みたく まっしろい。 それに、クレドは、まっしろい ぼうしも かぶってた なので、まっしろい雪の中で かくれんぼうをしたら、オレは、ぜんぜん、クレドを見つけられなかったのだ。
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