キャンディーポップの月 11日

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キャンディーポップの月 11日

きょう、学校に いったら、ガブリエル先生が、ぶあついノートを みんなに くばった。 それで、ガブリエル先生は、 「これは、『にっきちょ』と ゆうものです。これからは、まいにちの できごとを この『にっきちょ』に かいて、お休みの つぎの日に、先生に ていしつ してくださいね」と、ゆった。 それなので、オレは、きょうから、『にっきちょ』とゆうものを かくことになったのだ。 それなので、オレは、きょうは ルディと 大ゲンカをしたので、そのことをかこうと おもった。 オレの おとおさんは、『さんたろー』を してる。 『さんたろー』とゆうのは、クリスマスのときに、にんげんの こどもの ところに、プレゼントをくばるのが おしごとだ。 クリスマスのときの、いちばんの『いべんと』なのだ。 それなので、オレの おとおさんは、クリスマスの国で いちばん えらい。 クリスマスの国の 王さま なのだ。 オレも、大きくなったら、おとおさんみたいに、りっぱな『さんたろー』に なりたいのだ。 それだけども、オレは『すえっこ』だから 『さんたろー』に なれないと、ルディに ゆわれたのだ。 ルディは、ほんとの名前は『ルドルフ2せい』と ゆうのだけれども、みんなルディと よぶので、オレも、ルディと ゆってる。 ルディは、いつもは、オレや おとおさんや おかあさんや にいちゃんや、それとか、にんげん族なんかと、おんなじの、頭や、手や 足や、からだの かっこうを してるけど、クリスマスのときは、トナカイの すがたに へんしんするのだ。 つのと シッポも はえるのだ。 クリスマスの国の トナカイ族は、みんな、そうなのだ。 トナカイに へんしんしたときの ルディは、鼻のテッペンが つるつるの 真っ赤っ赤で、まぬけだ。 けど、へんしんしてないときは、真っ赤っ赤なのは かみの毛の色だけだ。 あと、オレよか、せいが高い……けど、ほんの ちょびっとだけだ。 だって、オレの にいちゃんよりかは、ちょびっと せいが 低いもん。 にいちゃんと ルディは、おんなじ年だ。 だから、オレが にいちゃんの年になったら、オレのが ぜったい せいが高くなる。ルディよか。 だから、オレは、くやしくない。ぜんぜん、くやしくなんか あるもんか。 オレは、 「なんで 『すえっこ』だと、『さんたろー』に なれないのだ?」と、ルディに きいた。 そうしたら、ルディは、 「『さんたろー』に なれるのは、せかいじゅうで たった一人なのです。ですから、若君(わかぎみ)の お兄さまの ニコラ殿下が『さんたろー』をつげば、若君は、『さんたろー』には なれません」と、ゆった。 オレは、 「オマエは、オレより、ちょびっとだけ せいが高いからって、いつも、なまいきな ことをゆうのだ! 知ったかぶり!」 と、おこって、ルディの むねを ペシペシ たたいた。 それだけど、ルディは、いっつも『とれにんぐー』をしてるので、むねが きんにくで かたいので、ちっとも へいきな 顔で、ちょびっとだけ こまったみたいな 顔を しただけだった。 『とれにんぐー』とゆうのは、いっぱい うんどうをして、体を きたえることです。 トナカイは、クリスマスのときに、せかいじゅうの こどもに くばる プレゼントと『さんたろー』を のっけて、でっかいソリを ひっぱって、せかいじゅうの そらを はしりまわるので、いっぱい 力を つけなきゃ ダメなのだ です。 それで、トナカイの みんなは、いつも、『うんどうじょ』で『とれにんぐー』をしてるから、みんな、いっぱい 雪やけをしてる。 学校に かよってる ニッセ族の おんな たちは、ルディを みると、「たくましくて、かっこいい」と ゆう。 ニッセの おんなの こどもは、みんな、目が わるいと おもう。 オレが、もっと、ねんちょうに なって、せいが 高くなれば、オレのほうが、ルディなんかよか、ずっとずっと かっこいくなるのだ。 ニッセの おんなの こどもは、みんな、わかってない なのだ。 だけども、おとなの ニッセは、みんな、ものしりで、きれいで、やさしい。 みんな、ふわふわの 金色の かみの毛をしてて、ミルクみたいな色の すべすべの顔をしてる。 それで、長いマツゲをパタパタさせながら、メープルシロっプを かためたみたいな 透明な でっかい目を ふんわり ほそくして、ニッコリ わらってくれる。 オレの おかあさんが つくってくれる、あまい ブっシュ・ド・ノエルの スポンジみたく、ふんわりと わらう。 ブっシュ・ド・ノエルの 上にかかってる さらさらの 粉砂糖みたいに、さらさら やさしく わらうのだ。 それなので、オレは、ニッセの おとなは、だいすきだ。 オレの おかあさんは、ニッセ族の おひめさまだ。 せかいじゅうの ニッセの おんなの なかで、いっとう、きれいで やさしいのだ。 オレは、おおきくなったら、おかあさんと けっこんすると おもいます。 そうすれば、オレは、女王さまの おむこさんになるのだから、王さまに なって、『さんたろー』に なれるのだ。 おかあさんは、おとおさんが『さんたろー』を いんたいしても、そうすれば、ずっと、もっと、いつまでも 女王さまで いられるようになるので、とても、よろこんでくれると おもうのだ。 オレは、これは、すごく ばつぐんの アイデアだと おもうのです。 オレの だいはっけんの めいあんなのだ です。 それなので、オレは、ルディにも その考えを こっそり おしえてやった。 オレが『さんたろー』に なりたいのは、おかあさんの ためでも あるのだもの。 そうしたら、ルディは、 「なんだか、ずいぶん 虫のいい話じゃ ありませんか?」と、かたを ちぢめて ゆった。 オレは、虫の話なんか、すこしも してないのに、ルディは、きゅうに、そんなことを ゆったのだ。 それなので、 「わー! この、わからずやの、バカめ!」と、オレは ゆって、もっともっと、よけいに、プンプン おこって、ルディを ペシペシ たたきました。 それだけど、どんなに いっぱい力をこめて グーで たたいても、ルディは、ビクともしないのだ。 ルディは、オレのにいちゃんと おんなじく、『だいがくせー』なので、オレより 年が上だから、オレのほうが、ハンデーが あるから、しかたないのだ。 ゆっとくけど、オレが よわいワケじゃ ないのです。ぜったいに。 オレが ルディと おんなじ年なら、オレは、ぜったい、ルディに まけないのだ です。 それだけど、オレは、まだ、小学校なので、しかたないのだ。 それだけど、オレは、たたかいながら、いっしゅんで、ぐるぐるーと 頭を はたらかせた。 それで、あっとゆうまに、すごい めいあんを おもいついた。 それで、オレは、ルディの わきの 下を、こしょこしょ くすぐったのだ。 そうしたら、ルディは、 「うひゃひゃ」と、へんな こえを あげながら、ゆかの上に ころがって、 「うわー、くすぐったいから、やめてくださいよー、若君ー!」と、目のハシッコに なみだを ボロボロこぼしながら けらけら わらった。 オレは、 「わー、ルディが ないてるー! ルディの よわむしー!」と ゆって、げたげた わらった。 そうしたら、ルディは、 「ひきょうですよ、若君! だったら、こっちからも、おかえしです!」と ゆって、オレの 体じゅうを、こしょこしょ くすぐりかえした。 それなので、オレは、「うわー! やめろー、バカモノー!」と ゆって、へやじゅうを、ごろごろごろごろ ころがりまくった。 すごく、つかれた。けど、すごく おもしろかったので、また ルディと 大ゲンカをしようとおもった です。
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