梅雨のおわりのお話

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アジサイの花が盛りのころは雨が続く。 「ねぇねぇ、ばあば。雨ばっかりでつまんないよぉ。」 ぼくは家にあるゲームも飽きてしまった。ばあばが作ってくれるホットケーキは大好きだけど、雨が続くと焼きたてのホットケーキもなんだか味がぼんやりしてしまう気がするんだ。 「そうだねぇ、じゃあねぇ後でお話でもしようか。」 「うん!」 ばあばのお話は面白い。ぼくが主人公で、あちこちいく冒険の話なんかワクワクしちゃう。 ばあばはホットケーキとコーヒー。ぼくはホットケーキとミルク。前にコーヒーがすごくいい香りだと思って飲ませてもらったけど苦くてびっくりしちゃった。 「ばあば、なんでこんなに苦いのに平気なの?」 お口直しだよ、といってばあばがくれた甘いチョコを口の中に入れてぼくは聞いた。 「そうだねぇ、大きくなると色々と平気になるもんだからかねぇ。」 「ふーーん。そうなんだ。」 そういえば、パパやママもお寿司やお刺身にワサビをつけると美味しいっていうもんね。あんなのとても辛くて食べられないのに。 「さあさあ、おやつの後片付けをしたらお話だよ。」 そういって、ばあばはコップとお皿を片付けだしたので、僕も残ってたホットケーキを口に入れてミルクを飲み干した。もちろん僕もちゃんと後片付けしたよ。椅子を流しの近くに持って行って、スポンジに洗剤を垂らして泡を立ててからお皿やコップを洗って、水で流して泡を落としたら食器たてに置いておく。これが、ばあばの家のルールだ。自分でできることは自分でする。前に手が滑ってお皿を割ったときも、ばあばは黙ってほうきとちり取りを持ってきて僕に渡すだけだった。怒ったりはしない。ただ、気をつけるようにっていうくらい。お皿が燃えないゴミだってことくらい僕も分かるし、ごみを捨てるところも知っている。それにちゃんとやれば、ばあばは褒めてくれるもん。 今日は別にお皿も割らなかったし、普通に洗って終わった。びしゃびしゃな手も、ちゃんとタオルで拭いた。 「ばあば、おわったよー。」 「うんうん、きちんとできたね。それじゃあ、お話聞くかい?」 「もちろん。」 ぼくはワクワクしながら、ばあばの横に座った。
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