澪 13 最終話

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バラバラだったいろんな歯車がひとつずつ噛み合ってきたんだよと言ってくれた。 私と律の歯車はいつから噛み合わなくなったのだろう。佐伯さん、臣くん、哲おじさん、いろんな人達のおかげで私たちの歯車がまた噛み合い一緒に動き出した瞬間だった。 食事の後、バルコニーで飲んでいたらそういう雰囲気になりベッドへ連れて行かれた。リビングの端にあるロフト。ここには何回か来たことはあったがこのロフトの存在は知らなかった。 吹き抜けになっているのでリビングとは空間的につながっている。そこにベッドがあり律はここで寝ているという。社長に借りたものの無償なので極力部屋を汚さないようにしているらしい。 「子供の頃の秘密基地みたいね」 「だろ?この天窓がまたいい感じなんだよ」 そう言って見上げた天窓からはもうすぐ満ちそうな月が見えた。 「澪の身体が月明かりで綺麗だ」 「照らされるのは恥ずかしい。シャワー浴びたい。仕事だったし、走ったし」 「無理、却下、後で一緒にな」 そう言って、どんどん衣服を剥がされていく。 舌と舌が絡み合う。自然と涙がこぼれ落ちた。これが本当の嬉し泣きだとわかっていた。心と涙が連動している。
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