澪 1

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子供の頃よく葉っぱの香り当てクイズで母さんと遊んだ。その母さんは私が高校の時に病気で他界した。 お葬式の時の父の背中が小さくて寂しそうで、私も悲しかったがそれよりも父さんの元気な姿が見たくて毎日励ましていた。 でないと父さんもいなくなってしまいそうで、そんなことになれば今度は私が寂しいじゃないか!なんて高校生ながらに思っていた。 4月になりそろそろ桜が咲きそうになる。 「おーい澪、明日哲ちゃんのとこに配達行ってくれないか?健康診断なんだ」 「うん、わかった。いつものセットでいいんでしょ?」 「おう。あ、それとこれも渡しといてくれ。この前見たがってた将棋のDVD。それ見て勉強すんだってよ」 哲おじさんは父さんの昔からの友人で、近くのオフィスビルで外資系コンサルティング会社の日本支社長をしている。家族ぐるみで仲が良く私は哲おじさんに将棋を叩き込まれた。毎回将棋の相手をすればおもちゃをくれるので私としてもおじさんだった。 「じゃあ配達行ってくるね、健康診断の結果はちゃんと私にも教えてよ」 淡いグリーンの軽トラで配達に向かう。
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