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搬入した植物の伝票を差し出した。
哲おじさんはぶつぶつ言いながらサインをする。
「日曜何か昼ごはん買って行こうか?」
「じゃクローバーのオムライスで」
近くの洋食屋クローバーのオムライスが美味しくて大好きだった。
「おうわかった、そうだ楠木くんもどうだ?将棋すると言ってたよな?」
哲おじさんの側に立っていた男に話しかけていた。
「はあ昔は祖父の相手をよくしておりましたが…」
「この娘が強くてな、元々ワシが教えてやったのに師匠を超えやがって」
深く被っていたキャップから片目だけを上げてその男の方を見ると、なんとも眉目秀麗な顔立ちのなんとなく和の匂いがしない男がこちらを見ていた。軽く会釈をして
「じゃあ私はこれで」
「お、おう、じゃあ日曜な、気をつけて帰れよ」
「はーい、ありがとうございましたー」
台車を押しながらオフィスをあとにする。
父さんの晩ご飯を作り終え、夜のバイトに向かう。
私には夢がある。イギリスでガーデニングを学び日本で専門の会社を作ることだ。そのための留学費用を貯めるために週3日夜のバイトをしている。留学の事をまだ父さんには話していない。資金の目処が立った時に話そうと思っていた。
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