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「じゃあ行ってくるね。ちゃんと自分のお茶碗洗っておいてよ」
「はいはい、気をつけろよ」
「はーい」
父さんには友達に頼まれて居酒屋のバイトをするとだけ言っているが実はクラブでヘルプとして働いている。クラブと言っても会員制高級クラブで看板も出していない超がつく高級なクラブだ。
お客様もホステスと楽しくというより仕事寄りの接待の場として利用される方も多い。
会員になるには現会員の紹介と保証人が必要になる。もしその会員が粗相をした場合は連帯で除名される。そのかわりホステスの質も他のクラブよりも高く有能で知性も教養も持ち合わせている。商談や案件をスムーズに運ぶための潤滑油の役割を依頼される時もある。
ここへお花や観葉植物の納品に来るうちにママと仲良くなり、留学資金の話をするとヘルプのバイトを提案され、働かせてもらうようになった。ホステスの隣でウイスキーを作ったりカウンターや個室の清掃やアシスタント等主に雑用係だ。
「マオミちゃん、3番へお願いね。近藤様とお連れさんみたい。ミリちゃんが来るまでつないでおいて」
ママの透子さんが出勤してきた私に言った。
「はーい」
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