澪 1

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源氏名を本名ミオを文字ってマオミにした。なかなか可愛い名前だと気に入っている。お店は15テーブルと3つの個室がある。 言われたテーブルに行き挨拶をする。 「近藤様いらっしゃいませ。お待ちしておりました」 頭を下げ失礼しますと席に着く。 「やあマオミちゃん、ミリちゃんはまだなんだってね。今日はうちの取引先の若くて男前を連れてきたんだ。いつもおじさん相手だと嫌だろ?」 「いいえ、近藤様のお話はとても興味深くていつも楽しんでおりますのに、私そんなにつまらなそうな顔をしておりました?それは申し訳ありません。以後気をつけます」 「いやいやそうじゃない、少しはマオミちゃんも喜ぶかと思ったんだよ。彼ね、楠木くん、コンサルティング会社に勤めてて今の俺の推しだ」 「ふふ、推しだなんてまたお嬢さんに流行り言葉教えてもらったんですね」 名前を言いながら軽くお辞儀をして顔を上げると、・・・最近どこかで見たような顔だった。どこだ?ほんとに最近だぞ、どこだっけ? 思い出そうとしながら適当に話をし、飲み物を作り、お客様同士の会話の邪魔にならないよう相槌をしていた。
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