花と緑に包まれた彼女

澪 1

オフィス街の外れにあるフラワーショップ "Mio"
オフィスによくある観葉植物などのレンタルもアレンジしている。1階がお店で2階3階が住居になっている。

「おーい、澪(みお)、哲ちゃんのとこに配達行ってくるぞ」
「はーい」

父の香坂聡は娘が生まれると店名を娘の名前に変えた。母の反対も押し切りあっさり前の店名を捨てたのだ。前の店名なんだったっけ？

リーン、店のドアが開く。
「いらっしゃいませ」
「すみません、花束をお願いしたいのですが」
「ありがとうございます。何用でご予算や色合いとかわかりますか？」
「送別用で、予算は5000円でピンク系でお願いします」
「はい、かしこまりました。いつご入用ですか？」
「今週金曜日とか大丈夫ですか？」
「はい大丈夫ですよ。ではこちらにご連絡先ご記入ください」

そうかそういう季節か。別れ、旅立ち、門出。スイートピーやガーベラでいこうかな。

この子達（花）の姿と香りに包まれているとどんなに凹んだ時でも上を向かせてくれる。励ましてくれているように感じる。観葉植物にだって種類によって葉っぱの香りが違う。