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年明け直ぐに、花はモジャと越して来た。
引っ越し業者を手配しなくて良いのかと聞いたら、大丈夫だというので、どうするつもりだろうと思ったら、当日、若い男がミニバンで引っ越しを手伝っていた。
男、いるらしい。
「どうも。花と一緒のシェアハウスだった森本です」
そう挨拶して、ペコっと会釈するので「あ、妹がお世話になっています」とありきたりな挨拶をした。
見た目、やんちゃな森本君は、挨拶できる程度にまともだ。
ちゃんと引っ越しを手伝っている。
「けんちゃん、これ、一旦、ここに置いていい?」
大きな餌の袋をキッチンの脇に置くと、モジャを連れに行く。
荷物といっても、花の持ち物は、びっくりする位少なく、スーツケース一個と段ボール数個だけだった。
大きかったのは、モジャのクレートとリビング用のベット、大きな餌の袋だった。
「花、荷物、これだけ? ほとんどモジャの物だな」
「あ、うん。シェアハウス、家具付きだったから。花、服位しかないよ。じゃ、モジャ連れてくるね」
「ああ、うん」
家具付きでも、思い出のものなり、雑貨なり、あれこれ、ありそうなものなのに。
なんか、引っ越しに慣れているっぽい。
根無し草っていうか。
あ、綿毛だ。
花はふわっとしてて、何処へでも飛んでいきそうだ。
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