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夢を見た。
昔の─────ずっとずっと昔の夢だ。
『伊織!沖に船が見える!』
『あれらはお父上、志喜公の御船にございます。あの大型船などは外国へも人を、荷を運びます。いずれは全て若様が受け継がれるのです』
『私の船になるのか?』
『船だけではございません。城下のこの町……丹羽の山の裏にある村々まで、全て若様の御領地にございますよ。若様が守らねばならない民がたくさんおります』
『私ひとりに守れるのであろうか……』
『お一人ではございません。伊織がいつも共に在りましょう』
伊織に寄り添い、城から眺めた景色。
私はあれほど美しい海を見た事がない。
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