灰色

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 そうして俺のニート生活が始まった。生活は今まで貯めたお金を切り崩せば、しばらくは大丈夫だろう。  仕事から逃げ出したが、やりたいことなど一切ない。何か行動に移そうにも体が言うことを聞かない。まるで体と精神が分離したかのような錯覚に陥っていた。  そんな生活が始まり、どれだけ経過したか分からない。何もしないで過ごす日々に色彩はなく、ずっと曇り空の中に閉じ込められたような気持ちになる。  ふとこんな生活に嫌気がさしてしまった。抜け殻のように生きていて、一体何になるのだろうか。  ただもちろん死のうとは思わなかった。死ぬのにも力がいるし、その力が湧いてこなかった。今の俺には死のうとする気力すら残っていなかった。  結局、この灰色の世界とお別れできることを祈り「おやすみ、灰色の世界」と独り言を言ってから眠りについた。こうすることで、少しでも今の自分と決別が出来るような気がした。  不思議なことに、その日は簡単に眠りに落ちることができた。
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