序章

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序章

 次の日は珍しく昼過ぎに目が覚めた。随分ゆっくり眠れたなと思ったが、不可解な出来事が起こっていた。  まず全身が筋肉痛になっていた。ここしばらく運動なんてしていないし、筋肉痛とは程遠い生活をしていたはずだ。  さらに洗濯機の中には身に覚えのない洋服が入っていた。こんな服を最近着ただろうか。  ぞっとしたが、冷静に考えるとここしばらく、前日の記憶すら曖昧なこともあるので深く気にしないことにした。  結局この日も、何かをする訳もなく怠惰に過ご して1日が終わった。  ただ次の日も再び不可解な事が起こっていた。  次は机の上に、覚えのない小説が大量に置かれていた。ここしばらく、まともに外出していないから、これは自分で買ったものではない。  さすがに恐怖を覚えて、この日は部屋にカメラを置いて様子を見ることにした。俺が何もしていないなら、誰かが部屋に入って何かをしているはずだ。  しかしそんなことをされる理由が思い浮かばない。こんな人間に本を送って何のメリットがあるのだろうか。  どれだけ考えても理由は分からなかった。それなら考えるだけ無駄な気がした。  その日は結局、机の上に置かれている小説を読んで一日を過ごすことにした。ただ小説はいくら読んでも、内容が頭の中に入ってくることはなかった。
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