自壊

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自壊

 俺に生きている価値なんてない。  そう思ってしまったきっかけは些細なものだった。周りの人間はそう言う。ただ俺にはそんな些細な問題ではなかった。  始まりは取引先とのちょっとした行き違い。その行き違いが最後まで尾を引いて、気がつけば役員が対応するほどの大きなトラブルになっていた。  なんとか問題は解決したが、それからは仕事が怖くて仕方なくなってしまった。周りは仕方ないと優しく声をかけてくれた。よくあるトラブルだ。次に活かせばいい。  だけどその言葉の裏で、俺を罵倒しているのではないかと勘ぐってしまう。周りには悪意しか溢れていないような錯覚に陥っていた。  結局俺は我慢の限界を迎えて、会社を辞める決意をした。俺のことをフォローしてくれた役員は親身になって話を聞いてくれた。だけど自分の意思は変わらないと伝えた。  役員は、少し休んでリフレッシュすればいい。また働く意欲が沸いたら連絡をしてくれと優しく送り出してくれた。  その優しさが、さらに俺への罪悪感を増長させる。  
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