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今日は、自分だけでなく、俺にも気持ちよくなって欲しい──舐めさせて欲しい、触らせて欲しいと懇願する彼女の、熱に浮かされたような、うるんだ瞳を見ただけで、すさまじい欲望が背筋を駆けめぐり、あやうく射精しそうになってしまった。
彼女がそばにいる時──特に、体を交えている時は、いつも彼女に対して抱いている焦り、渇望といった苦しさにも似た感情が、少しは和らぐ。
無理をさせているかもしれないと、考える時もあるけれど。
それでも、やめることは出来なくて。
彼女の世界はいつも、広く開かれている。そんな彼女を見ると、好ましく感じる。
でも自分はどうか。彼女の笑顔を見るたび、幸福感を感じる。
やっと手に入れた、と充足感をおぼえもする。
けれどその一方で、暗い炎が心の内で燻ぶっているのを自覚せずにはいられなかった。
幸福感も、充足感も。
満たされるのはいつも一瞬。
次の瞬間には、この「完璧な状況」はいつか失われるのではないか、それは遠い未来ではなく、もしかすると近いうちなのではないかといった不安が心を貫いて、どうにかなりそうになったりもする。
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