プロローグ

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プロローグ

 高校の渡り廊下の下は中庭でそこにはさっき終わった卒業式の卒業生達が写真を撮ったり後輩に囲まれている人気の先輩がいたり。 私は渡り廊下から目を皿のようにしてお目当ての人を探す。 「あっ!」 お目当ての彼が美女と一緒に仲良く話ながら歩いてる。 「好きだったのにな~。」 「うん。」 グスッと泣いているのだろうしゃくり上げる声がする私もすでに顔は涙でグチャグチャだ。 いい加減綺麗にしないとって思ってとっさに制服の袖で涙を拭こうとしたら隣から綺麗なハンカチが差し出された。 「持ってないの?あげるから使いなさいよ。」 数枚持ってきてるからあげるわよと隣で言う。 「失恋したね~」 「うん。」 悲しいけど大好きだった彼が卒業して告白する前に彼女がいると聞いて撃沈した。 同じ人を好きだった隣の人もまた同じで…。 「初恋は実らないって言うのよね。」 「ホントね・・・。」 高校時代の私達の初恋は淡く綺麗に終わりを告げてその変わりに隣の人と何故か意気投合して友達になり今では親友になった。 同じ人を好きになってお互い初恋で・・・ 遠くでバンバンバンと扉を叩く音がする。 「ちょっと!いるんでしょ?」 バンバンバン!! 「んっ・・・んん。あッ、ハーイ!」 私は返事をして昔の思い出の夢だったと気が付いて思い出に浸りそうに…「長谷川さん!」玄関扉の向こうから大きな声が聞こえる。 私は小さな鏡で寝ぐせを確認して上にカーディガンを羽織ってそっと扉を開けると背の低い小太りのおばさんが立っていた。 「大家さん?おはようございます。」 「おはようございますじゃないわよ!今月のお家賃引き落とされてないわよ。」 えっ?給料日に合わせて家賃が落ちるようになってるからそんなはずは無いとスマホを部屋から持ってきてネットバンキングで残高を確認する。 「貴女は給料と同じ日に引き落としになってると言ってたけどお仕事辞めたの?辞めたなら辞めたと言ってもらわないと。」 いや転職はしていないけど。 給料日もいつも通り・・・えっ!! 「ちょっと待ってもらえますか?銀行に・・銀行に電話しないと!」 その場で銀行に電話して確認したら・・・ATMで全額引き下ろしています。と言われて唖然?呆然?としてしまった。 「なんかトラブルのようだけど・・うちは今月末で出てもらいますからね契約書にあるでしょ?1日でも遅れたら月末までの契約って!」 確かに不動産屋さんも特記事項ということで説明を受けていた。 家賃は安いが家賃が送れてら即退去みたいなことだったから給料日のその日にしてあったのに・・・。 スマホのカレンダーをみて愕然とした! 本来の給料日は20日でその日は土曜日だから会社は前日の19日に給料を振り込みしている。 家賃の引き落としは月曜日の今日だから22日だ。 「なんにしろ今月末に退去で!今月分の家賃は支払うか敷金から相殺ですからね!。」 バン!と大きな音をたてて扉がしまる。 預金残高ゼロ。 財布の中を急いで確認したら2万円入ったままだったしカードもあるが金曜と土曜に結婚相談所で出会った男性とデートした記憶を思い出した。 「まさか・・・結婚詐欺?まさか?」 スマホの彼の顔をタップして電話する。 「この電話は現在使われておりません・・・・。」 むなしく現実を知らせる無常のアナウンスが流れる! 「結婚詐欺!!」 私は呆然自失しかけたがこんなの時の親友の名前をスマホから探すとすぐにラインをいれる。 仕事中に電話するのはマナー違反だと思うから。 「桃だけど助けて~。」 既読がすぐについて 「なに?また失恋でもしたの?」 即レスということは電話しても大丈夫かもしれない? 「失恋より詐欺にあったかも?」 とラインを入れると…数分もしないのに着信が。 「詐欺ってなんなの?今日仕事は?」 親友はいい声で聞いてくれた。 「今日は休みって有給消化。私ね結婚詐欺にあったかも?」 「結婚詐欺って?あの顔だけな男?」 「うん!」 大きな溜息が電話の向こうから聞こえる・・・そして 「今日は家で仕事してるからすぐに来なさい!お金はある?」 財布に少し現金があったことを伝えて親友の言う通りに親友のマンションへ向かう事にした。
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