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食卓にいる両親に声をかけて、学校へと向かう。いつも通りの朝だ。
私が通う高校は幸いにも徒歩圏内にあるため、家が遠い子に比べればまだまだゆっくりしていられる方だと思う。
住宅街を抜け、大通りに出る。信号待ちをしていると、角のコンビニから見知った顔が出てきた。
無意識のうちに顔が緩む。
信号が青になった瞬間に、私は駆けだしていた。
「悠!おはよーう」
近づく私に目を向けて、笑顔を向けてくれる。
「おっす、かんな!」
彼、水無月悠は、私、二宮かんなの所謂恋人である。
「悠が私より先に来てるなんてどうしたのー?雨でも降るんじゃない?」
悠の腕を掴みながらからかう。
悠とはいつもこのコンビニ前で待ち合わせて通学しているが、彼が私より早く来ていることなど皆無に等しい。
「おまっ!俺だってたまには早起きすることもあるんだよ」
眉を顰めて顔を背けるが、腕は振りほどかなかった。
そんな悠の顔を覗き込みながら、くすくす笑った。
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