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プロローグ
『宮城県名物、あります』
今では珍しい存在となった個人商店の一角に、そのコーナーはある。
とある年の3月11日午後2時46分、妙齢の店主が、そこに置かれた商品を見つめながら、祈るように何かをつぶやいていた。
***
「この作品、次は書かれないのかな……」
中央恵庭高校新聞部部長、西崎みはるは、文庫本を読みながらつぶやいた。
子供の頃夢中になって読んだ『図書館のお姉さんと私』という、小学生の主人公と図書館司書の交流を中心に展開するとても夢のあるお話。
ラストは司書さんがあこがれの小説家さんと恋仲になり、続編を匂わせる形で終わる。
宮城県在住という、作者の天音ゆうり先生にファンレターを送って、返事が来た時はものすごく嬉しかった。また、続編も描きたいと書いていた。
返事をもらったことで作品への思い入れが強くなり、今でもたまに読み返していた。
だが、みはるの知る限りでは、天音ゆうり先生は執筆を続けていたが、刊行から10年経った現在でも続編は描かれなかった。
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