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第三章 再取材と堂々巡り
――次の日から、みはるは新聞部の部室に来なくなった
「部長、学校新聞にスクープは要らないなんて言ってるのに、今日も取材なんですね」
「どういう風の吹き回しなんだろうな」
「あんな言い方されても食らいついていくなんてね。つつじさんがよっぽど気になるのかしら」
「気になると言うか、ああ見えて、困った人を見るとただではおかない性格だからな」
「それを言うなら放ってはおけない、でしょ」
「失礼。それにしても……、部長がいないと文章がうまく書けないや。高柳さん代わりに書いてよ」
「えー!? パソコンってフリックで入力出来ないし面倒だよ」
「……、それじゃあ、スマホで文章を入力してこっちに送ってくれる? レイアウトはこっちでやるから」
部室では、副部長の白井康永と部員の高柳佳奈のやり取りが取り交わされている頃、みはるは毎日のようにつつじ商店に通っていた。
「いつまでここに来るつもりなの?」
「つつじさんがお話してくれるまで、です」
「お話する気はありません!」
あとは互いにほぼ無言。だが、どういうわけかつつじさんはみはるを追い出すことまではしなかった。
お客さんがたまに来ると、つつじさんがレジにつく。その間みはるは書籍コーナーで小説などを読んで、午後7時前に帰る。そんな感じの日々が数日間続いた。
みはるはつつじさんが心を開くのを待っているように見えた。
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