第六章 書けない理由

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第六章 書けない理由

「続きが書けないのはね、主人公のモデルになってくれた人がね、亡くなってしまったからなの」  つつじさんは、少し寂しそうに言いました。 「主人公、モデルさんがいたんですね。でも、亡くなられていたんですか……」 「うん……、未来ちゃんって言ってね、ちょっとおとなしいけど優しい娘でね、よく一緒に遊んでいたわ」  みはるは小説の内容を思い出す。主人公はもっと活発に動く娘だったはず。そのことをつつじさんに聞いてみた。 「確かに、ちょっと違うわね。でも私は、未来ちゃんに主人公になって欲しかったのよ。そうするにあたって、積極的に動くように変えた部分もあるわ。でも未来ちゃんじゃないと、この話は成り立たなかったの」  つつじさんの答えに、みはるは、 「なるほど。でもキャラクターを変えているなら、未来さんじゃなくてもいいような気もしますが……、供養のためですか?」  これを聞いたつつじさんは少しムッとした。 「あなたって本当に物言いがストレートね」 「あ、すみません……」  すると少し笑みを浮かべて、 「いいのよ、供養のためって訳じゃないし、誰かにお話したいと思ってたから。それはね……」  つつじさんは、未来さんの思い出話を始めました。
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