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翅の生えた年頃の娘だけが集められ、女王から結婚飛行の説明を受けたのは今朝のことだ。花嫁候補の姉妹たちはみんな、期待に目を輝かせていた。あたしは目の前が真っ暗になったけれど、泣き崩れたレイナのために、平気なふりをしていた。
「私はいやよ……自分が汚されるのも、クルロヴァが、あんな……」
結婚飛行で花嫁たちが何をするのか。それを聞かされたあたしたちは、他の姉妹と一緒に頬を染めることなどできなかった。
祝福の光の中で、花婿たちと、次々に愛のダンスを。焦らして逃げて、あなたに追いついた花婿だけを受け入れなさい。より優秀な子孫を残すための手練手管を、お母様は教えてくれたけれど。
レイナはあたしの胸に顔をうずめて泣いた。
「私、もう死にたい……っ!」
「そんなこと言わないで。レイナがいない世界なんて、あたしだって耐えられない。離れていても、どこかでレイナが立派な女王になって、子どもたちに囲まれて幸せでいると思えるからこそ、あたしもがんばれるんだから」
ごめんなさい、と、妹はうなだれた。自死を仄めかしたことへの謝罪かと思えば、レイナの想いはあたしの予想よりずっと重かった。
「私は……がんばれない。クルロヴァが私のいないところで幸せに暮らしているなんて、いやだもの」
一緒に育った姉妹でも、考え方は違う。あたしはレイナの情の強さを愛しく思いながら、細い肩を抱き寄せた。
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