第一話 前世の夢

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第一話 前世の夢

高校一年生の天咲 日彩(あまざき ひいろ)は、目覚まし時計の音に驚き、勢いよく起き上がる。 カーテンから、陽の光が漏れる。 日彩は頭を抑え、汗を拭う。 「また…この夢…」 汗ばんだ寝間着を着替える。 下の階から呼ぶ母の声が聞こえた。 しばらくして、学校に向かった。 電車に揺られながらも、夢のことを考えていた。 学校に着いた日彩は、席に座る。 横の席の 相川 白(あいかわ はく)が声をかける。 「おはよう日彩。今日も元気ねぇな?」 「別に、白に比べればみんなこんなもんだよ。」 鞄の中から教材を取り出す。 日彩は一週間ほど前から、夢に悩まされていた。 初めて見た時は変な夢で済ますことが出来たが、それが一週間続いた。 それも、段々はっきりしてきていた。 日彩は誰にも相談することができず、1人抱え込んでいた。 「男同士が愛してるなんて夢、相談出来るわけないだろ。」 心の中でつぶやく日彩。 白は小学生からの幼馴染だが、相談することは躊躇った。 それから何時間もたち、放課後になった。 荷物をまとめていると、白が話しかけてきた。 「なぁなぁ、部活慣れた?」 「まだ、入ったばかりだし、そこそこかな。」 「お前の美術部は学校一のイケメン蒼真(そうま)先輩がいるもんな。どんな人なんだ?」 「まだ会ったことないからわかんない。」 蒼真 琳(そうま りん)先輩。 学校一のイケメンと言われている。 同じ美術部に所属しているが、1度もあったことも見たこともなかった。 と言っても、まだ入って間もないだけで、いつかは会えるものだと思った。 日彩自身、そんなに気にも止めていなかった。 やがて放課後になり、白は体育館へ、日彩は美術室へ向かった。 白はバスケ部に入っていた。 日彩はいつも通り美術室へ入る。 美術室の扉は錆び付いていて、学校が閉まる時間以外ほぼ空いていた。 荷物を置き棚の上にある道具を取ろうとした。 道具をとる事に夢中で誰かが入ってきたことに気が付かなかった。 扉が開く音がしないため、足音だけでしか、誰かが入ってきたことに気づくことが出来ない。 道具の並べる音や、水の音でその音さえかき消された。 道具を机に並べていると、いきなり後ろから手首を掴まれた。 驚いて後ろを振り返ると、驚いた顔をした男子生徒がいた。 驚いていると、男子生徒が口を開いた。 「…ルーイ。」 日彩は何が起こっているのかわからなかった。
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