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それから数時間、
私はゆらめく蜃気楼と共に溢れんばかりの若者たちが蠕く街の中をゆらゆらの歩き回った。
水分も取らず歩いたせいか頭が痛い。
胸が痛い。きっと水を飲まなかったせいである。
くそう。くそう。
何が彼氏。何が恋人。何が結婚だ!
揃いも揃って浮かれポンチどもめ、私のような高潔な人間には貴様らのような下賎な人間たちには合わないのだ。
そうなのだ!
四ノ宮は手を頭上に振りかぶる。
その先にふと目に止まったのは【結婚相談所】と記された看板である。
結婚相談所。
ふん。こんなところ老いぼれて誰からも相手にされなくなった下賎な男女が集う無味乾燥な不毛地帯じゃないか。
私のような容姿端麗で聡明溌剌とした若者が行くようなところではない。
ふん。と言って一歩ニ歩と看板を通り過ぎた。
しかしだ。
社会経験として、こういった下々のものが集まる場所にも顔を出してみるのは良いことではないだろうか。
私は最終的には、世界中のよりすぐりの女性が、私の求めるスペックを手にするために研鑽し、争い、選び抜かれた中から、最も美しい女性と結婚することになるのだが。
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