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「只今より竹塚学園入学式兼始業式を開会いたします。
教員・生徒の皆様はご起立下さい。礼。着席。
初めに、在校生代表挨拶生徒会長 神凪達哉(カンナギ タツヤ)君お願いし
ます。」
生徒会長と呼ばれた彼が舞台に上がった瞬間、新入生の大半は彼に見惚れただろう。
それくらいに彼は美しかった。
百獣の王を象徴する黄金の髪の瞳、耳と尾は彼の迫力さえ感じる美貌にふさわしかった。
誰もが彼が、この学園という名のピラミッドの頂点であると悟った。
彼は静まり返った会場を見渡してから満足そうに頷くと語りはじめた。
「新入生諸君、竹塚学園へようこそ。
俺からお前達に言いたいことはひとつ、この学園の生徒だという自覚を
持て。
この学園に入学したお前達には実力がある。
しかし己を過信するな。慢心するな。努力しろ。
力を使うためには信念がなければならない。
なぜなら俺たちに信念がなければ、それはただの暴力と化す。
俺たちはその信念を学ぶためにこの学園に入学した。
そうだろう?
努力して力を自分のものにしろ。
お前達の今後を楽しみにしている。
そして2年、今日で1年生気分は終了だ。
これからは去年みたく教師や先輩から優しく教えてもらう機会は減る
だろう。
自分で学び取れ。
最後に3年、今年が最終学年だ。
俺も含めて今年はあらゆうことで今までの集大成を披露する。
最後だからと言って既存のことに囚われるな。
多くのことに挑戦しろ。
1・2年をたっぷりしごいてやれ。 以上だ。」
うぉぉぉおおおおおおーーー!
パチパチパチパチ……
会場のあちらこちらで上がる歓声と拍手。
興奮して周りと語り合っている者もいれば、生徒会長に尊敬の眼差しを送る者、静かに野心を燃やす者など様々だ。
しかし共通して、彼らは皆生徒会長の言葉によって心を動かされた。
「藤政、そろそろ出る準備しとけよ。」
声を掛けられてハッとした。
新入生を観察しつつ会長の声を満喫していたから、すっかり自分の出番があることを失念していた。
一拍おいてから落ち着いた声で、返事をする。
「はい。この後の校長の挨拶と今年の生徒会メンバーの紹介の後ですよね。
わかってはいましたけど、実際こんなにたくさんの人のを見ると
緊張してきます。」
つい数秒前まで生徒会長の話を聞かずに声だけ聞いていたやつの台詞だとは思えない。
反射的に取り繕って言った。
誤魔化されていることに気づかず、後輩が緊張していると聞いて、この場にいる全員を唐揚げだと思え、と真剣にわけのわからないことを言ったこの先輩に返事をしつつ横目で盗み見る。
米沢隼人(ヨネザワ ハヤト)、身長は自分より若干低い170ほどなのにもかかわらず黒髪短髪の男前だ。
そして何より声が良い。
低すぎず高すぎない落ち着いた、けれど少し甘さがある声。
言っていることは時々わからないがとても良い先輩だ。
「どうかしたか?唐揚げじゃなくて油揚げがよかっt「はい!」
ついつい大きな声を出してしまった…
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