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頭からつま先にかけて虫唾が走った。 途端に喉に指を入れて、昨日飲んだものすべてを掻き出したくなった。 喉元で指を動かすと、伸ばした爪が痛かった。痛みと不快感にしばらく耐えた後、喉がうごめいて温かいものが食道を上った。 止めようと思ったが止められず、私は風呂場に嘔吐した。胃液と酒とアレの臭いがして私はすぐにシャワーを流した。 排水溝へと流れゆく汚れた水を見つめると、まだ足りない気がしてきた。 昨日私が飲み込んだのはこれだけではないはず。 痛みと鏡に映る無様な姿に、知らぬ間に大粒の涙を流しながら、私は淡々と飲んだものを掻き出していった。
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