第1章:名探偵と美少女と召使い

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第1章:名探偵と美少女と召使い

  オレは今日、ある人物に会うため小さな探偵事務所を訪ねていた。 いまどき珍しい木造建築の一軒家。 いやむしろ家というより古屋といった方が近いかもしれない。 本当に人が住んでいるのか疑ったくらい古びた外装だ。 こんな探偵事務所に来た理由は、他でもない。 今時探偵だなんて胡散臭いにも程があるけど、最早なりふり構っていられないんだ。 緊張しながらも震える手で木造のドアを軽く2、3回ノックし、扉を開けた。 「ーうわっ!?」 すると、入った同時に目の前にある何かとぶつかってしまった。 思わず声が裏返ってしまう。 我ながらちょっぴり恥ずかしい…なんて、そんな感傷に浸っている暇もなくーー目の前にある何か、いや…目の前にいる人物からすかさず声を掛けられた。 「やあ、ようこそ。」 「え…?」 そこにはいたのは男性だった。 オレよりも高い身長に、すらっとした立ち姿。 美形な顔立ちに思わず目を奪われそうになる。 「ん?キミは…」 「あ、安心院大器(あじむたいき)です!今日はその…宜しくお願いしまふっ!」 …緊張のあまり噛んだ。 顔が赤くなるのが分かる。 「…ふっ」 案の定、笑われてしまった。 一気に出鼻を挫かれた気分だ。 「あ、あの…電話でお話した件で伺ったんですけど…っ」 「ああ、依頼人だよね。待っていたよ」 「…改めて、今日はよろしくお願いします」 「こちらこそ。さあ、どうぞ」 これが、オレと探偵の出会いだった。 なんだか締まらない感じだが、こうしてオレの物語は動き始める。 まさか、この出会いが人生を大きく変えることキッカケになるなんてーーこの時のオレは知る由もなかった。
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