第1章:名探偵と美少女と召使い

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  探偵の後を追っていくと、着いた先はまさかの交番だった。 しかもここの交番はオレがひったくりにあった日、慌てて駆け込んだ交番でもある。 「…あの、なにしてるんですか?」 「ん?見て分からないかい?聞き込みだよ。」 「・・・いやそれは分かりますけど」 探偵は慣れた手付きで、真凛亜ちゃんから受け取った母親の写真を警官に見せていた。 本来なら正しい行動なのかもしれない。 だけど、オレからすれば茶番しか見えなかった。 ただただ不快感を覚えずにはいられない。 真凛亜ちゃんの話を聞いていたからこそ、余計にそう思った。 …この人は本当に真凛亜ちゃんの話を真剣に聞いていたんだろうか。 「で、どうでしょう?心当たりはありますか?」 「んー…見かけない顔、ですね…」 警官もどことなく困り果てた様子だった。 だけど、そこはやはり警官というべきかすぐに捜索願いが出ているかどうか本部と確認をしている。 今しかない、オレはそう思ってある事を探偵に尋ねてみた。 「…あの。」 「おや、見るだけじゃなかったのかい?」 「わかってますよ。でも、これだけは言わせてください。なんで、交番に来たんですか?」 「?聞き込みといったら先ずは交番だろう?何か間違っているかな」 「間違ってはないです。それより真凛亜ちゃんの話、ちゃんと聞いてました?」 「無粋なことを聞くね。当たり前じゃないか」 こ、この人はもう…良くもぬけぬけと…っ あまりにも平然と悪気なく答える探偵にオレは我慢の限界だった。 「おやおや、何をそんなに苛立っているのかな?」 「ー苛立っているんじゃなくて怒っているんですッ!真凛亜ちゃん、言ってましたよね!?捜索願いを出してもう一年も経っているのに、何の進展もないって!警官を困らせてる場合じゃーー・・」 「・・そう声を荒らげるんじゃないよ。大きな声を出して困惑させてるのは君の方だって、そんなことも分からないのかい?」 「…っ!!」 思わずカッとなる。 確かに側から見ればおかしいのはオレだ。 警官も不思議そうな顔でまじまじとオレのことを見ていた。 …でも、オレは事情を知っている。 だからこそ、納得が出来ないんだ。 ーーそれはこの探偵だって同じはずなのに。 「~~ッ!もういいですッ!オレはオレで勝手にやらせていただきますので!!」 飛び出す勢いでその場から離れた。 …まさか、その後にこんな会話があったとは知らずに。 「…いつも悪いね」 「いえいえ。ホームズさんにはお世話になっていますので、これくらいお安い御用ですよ。どうせ暇してますし」 「それは、平和な証拠ですよ」 「はい、まぁありがたいことに。にしても、珍しいこともあるんですね。貴方が誰かと一緒にいるのなんて初めて見ましたよ。彼とはどういったご関係で?」 「まぁしいて言えば…そうだね、最近雇った新しい召使い…ってところかな」
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