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「まずい…どこだ、ここ…」
勢い余って駆け出したのはいいけど…本当どこだ、ここは。
着いた先はどこかの路地だった。
辺りには民家がちらほらと立っている。
どうやら住宅街に紛れ込んでしまったらしい。
「あーもう…この歳で迷子とか…情けねぇ…」
もはや立ち尽くすしかない。
良くあるんだよなあこういうの。
感情に身を任せて、身を滅ぼすというか。
まぁ後先考えないで突っ走るオレが悪いんだけど…。
「でもいくらなんでもアレはないだろ…」
…何が必ずやり遂げる、だよ。
二言はないとかカッコいいこと言っておいて、そもそも警察がダメだからアンタを頼りに来たっていうのに…その意味をあの探偵はまるで分かってない。
とはいえ…一人でぶつくさ文句を言っててもしょうがない。
とりあえず先ずは大通りに出て、元の場所に戻らないと。
「ーうわあ!?」
と、カドを曲がろうとした矢先のことだった。
オレは目の前にいる誰かとぶつかりそうになってしまう。
「す、すみませんッ!」
頭を下げて慌てて謝る。
すると、すぐさま聞き覚えのある声でこう話しかけられた。
「召使いさん…?」
「え…?」
思いがけない台詞だった。
オレをこんな風に呼ぶ人はあの胡散臭い探偵と、あの子しかいないはず…。
…まさかとは思い頭を上げてみると、紛れもなく見知った少女がそこにいた。
「ま…真理亜ちゃん…?」
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