届けたい想い

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 都心の夜景を一望できる高級ホテル。結婚式会場となるこのホテルで親子水入らずに過ごせる最後の時間を娘は用意してくれた。 「あなた、綺麗な夜景ね。贅沢だわっ、きっと高いお部屋よ」  お金の例え話をするといつも怒る主人だったが、この日はじっと宝石箱を開いたような夜景を何も語らず見つめていた。  主人と共にふかふかの絨毯を歩き、主人は大きなソファーへと私は少々品が悪いと分かりつつベッドへとダイブする様に寝ころんだ。普段は動きやすいサンダルにダボダボのワンピース。都会のホテルに合わせた装いに少々足がむくんでいるから仕方ない。そう独り言を呟きながら脱ぎ捨てたヒール。 『だらしないなぁ』 そんな主人の言葉が聞こえる前に私は先手を打つのです。 「明日はビシッと留袖を着こみますからね。惚れ直さないでくださいよ」  主人は呆れているのか何も語らず、目を細め嬉しそうにじっと私を見つめほほ笑んでいた。
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