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シャワーを浴び就寝前にパノラマガラスの前に三つの椅子を並べ、綺麗な夜景を堪能する。
照明の灯りを少しおとした室内から見る夜景。分厚い窓ガラスには、主人、娘、そして私の三人の姿が映る。
幼き頃と同じように、娘を真ん中に――。
まだ酔いが残っているせいなのかよくしゃべる私は主人を見つめ懐かしそうに、父親が初めて娘に書いた手紙を取り出し驚かせようと読み始める。
「あっ! その手紙持ってきたんだ」
『霞、十二歳のお誕生日おめでとう。
あんなに幼かった霞がもうすぐ中学生になるんだね。
これから子供と大人の境目の大切な時期を迎える霞に伝えたいのは、自分に素直に生きなさい。どんなことがあってもパパとママは霞の味方。嬉しい事や楽しい事もある反面、必ず苦しい事や悲しい事も訪れる。
そんな時、霞の一番の味方はパパとママ。
でも、思春期を迎える君はその事を分かっていても拒絶してしまう。
だから覚えていて欲しい。
霞にはもう一人、心強い味方がいる事を。
本当の一番の味方は、自分自身――。
困難に向き合うほど戦わなければならないのは、自分自身だけど一番の理解者で君の支えになってくれるのも自分自身なんだよ。
自分の気持ちを一番大切に。自分に素直に生きれば忘れる事があっても、必ず思い出すから――。
自分の事を大切にできれば、きっと周りの誰かの事も大切に出来る筈。
そしていつか……、
パパとママが出逢った様に、大切に想える相手を見つけ素敵な恋をしてください。
父より』
霞は父を見つめ大粒の涙を零す。
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