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「じゃあどうしろと」
半ばヤケクソで言ったセリフに、サンタっぽい男は爽やかに笑って言った。
「やっぱり懺悔じゃない?来世のために」
コイツはどうしても私に罪を悔いて告白させたいらしい。私のことをふつーと馬鹿にしたくせに、懺悔することがあると確定しているのだ。なおさら腹立たしい。
「懺悔って言われても」
「罪を告白し悔い改めよ、お嬢さん」
「いや、そんなキリリと言われても」
「ちゃちゃっと、罪告白しちゃいなYOU」
「え、きもちわる」
「気持ち悪い言われた……」
ノリで口が滑ってしまった。思いの外刺さってしまったようで、サンタっぽい男は眉尻を下げてしまった。
「あ、これ懺悔か。気持ち悪いって言ってすみません。もう思っても口に出さないYOU」
「お嬢さん、語尾のせいで反省の色が見えない。全てが台無し」
間違えてしまったようだ。まあ当たり前なんだけど。若干こんなことをしている場合ではない気がしたが、私は自然と笑っていた。普通なら見ていられないほどボロボロのはずなのに。普通なら、痛くて泣いているはずなのに。
こんなに冷静でいられるなんて。
やっぱりもうすぐ死ぬんだな、私。
懺悔か。懺悔と言われても。なんて思いながら一つ思い浮かぶことがあった。
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