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3分でできること
「お嬢さんあと3分。何する?懺悔?」
「そんな悪いことしている人に見えます?私」
「いや際立つ何かを感じないので、ふつー」
「……なんか腹立つな」
サンタっぽい男は、さっきから人の神経を逆撫でしてくる。腹立つんだけど、立つような腹はもうない、というか臓物飛び出てるし、滑稽な感じもするが。なんだか瞼が重く感じる。
「お嬢さんヤバい。瞼が閉じる寸前だよ、それ。早くしないと寝ちゃうよ、永遠に」
永遠に。そう私は3分後死ぬのだ。まあ、もう死んでるけど、ほとんど。3分。3分で何ができるというのか。
「カップラーメンが食べたい」
最初に思い付いたことは、本当にしょうもなかった。
「無理。お嬢さんの臓物が使い物にならないし、カップラーメン出来た瞬間、君死んじゃうし」
全力で真っ当に否定された。もうカップラーメンの味は味わえないのかと思うと、ちょっと辛い。
「スリップさせた車の運転手を殺す」
我ながら倫理観のかけらもないセリフを吐いてしまった。
「無理。お嬢さん、体痛くて動かないじゃない」
忘れてました。私ぺちゃんこでした。復讐する暇もないらしい。
「じゃあ世界平和でも祈る?」
「お嬢さんが祈ったくらいで平和になるなら、もう随分前に平和になってる」
余命幾ばくもない人間に対して無慈悲すぎる。
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