3 セントラルタワー

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 真珠のような泡が海面を滑り、海の底には光が満ちている。  それに手を伸ばそうとするのだけれど、自身がものすごい速さで海の上を飛行していることに気がついて恐怖する。  それでも、おそるおそる指先を伸ばすと、海面から弾け飛んでくる波の粒子が指先に鈍く痛みを与える。  それがじんじんと胸の中を揺さぶっていく。  その痛みは奥へ奥へと進み、背中から翼の付け根に移動して翼が重く身体にのしかかる。  上手く飛ぶことができない。  海に落ちてしまう。  と思うと海の底からわき上がる光が鼻孔から眉間の奥へと突き抜けていき、目が覚める。  そして、自分は海の上を飛んでいたのではなく、海の底にいて空を見上げていたのだ、と理解するまでが夢の続きだった。  サキが目を覚ましたときには、室内は明るくなっており、誰もいなかった。翼の付け根に汗をかいていて、むずむずと気持ちが悪い。  ソファには抜けた羽根が何枚か落ちており、それを集めて色あせていく様子を眺めていた。  サキがぐずぐずしていると、清掃員の男性が入ってきて、 「ゴミは持ち帰ってよ」  と不機嫌に言った。  色褪せた羽根はただのゴミなのだ。  その後、二階の食堂へと降りていき、食事をとった。  鳥人は雑食だが、豆や果物を好むものが多く肉はあまり食べない。酒には弱く、甘いものは好き嫌いが分かれるようだ。
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