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眠りはじめの夢の中では、音のない稲妻が目の前を行ったり来たりしていた。夢の中では、それが雷の光だと分かっているはずなのに、怖いとは思わなかった。むしろ、蛍をつかまえようとでもするように、光を追って、両手でとらえようと腕を伸ばす。
しかし、手のひらにおさまっても、光は指先からすりぬけてしまう。そしてさらに、逃げ出した光は、翼の中に隠れてしまう。
それをセナが笑いながら取ろうとするのだけれど、「絡まって取れない」と文句を言う。
サキは翼が邪魔だなと思った。
次の朝、目が覚めてから夢の内容を思い出すと、急に恐れと心細さを感じた。
空は嘘のように澄み渡っていた。
三年前の冬、湖が銀色に凍りつき、サキとセナはスケートを楽しんでいた。二人は双子の兄弟で、生まれたとき一つのカゴに入れられていた。とはいえ、顔も似ていないし、髪の色も瞳の色も違っていた。
セナは青いサファイアのような髪の色をしていた。
普通、鳥人は髪と瞳が同じ色をしていたが、セナの瞳は透き通るような髪の色に比べて灰色がかった青い色をしていた。
身体は同年代の鳥人に比べるとがっしりと大きかった。
しかし、そのしっかりとした背中には、翼が一つしかなかった。
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