6 ガラクタ屋

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6 ガラクタ屋

 ガラクタ屋の重い扉を開けると、チリンと鈴の音がする。  どれだけ聞きなれても、なんとなくこの音が嫌いだった。  梁がむき出しになっている天井からオレンジ色のランプが吊されており、店内はいつ来ても薄暗い。通路にも本や古道具、食器に玩具などが置かれ、天窓と思われる場所にまで積み重なっている。  サキは翼を縮めて用心深く奥へと入っていく。歩くたびに埃が舞い上がり、息をこらすのが大変だった。鳥人のアパートも決して清潔とは言えなかったが、狭くてかび臭くないだけここよりはましだと思う。  突き当たりまで進んでいくと、黒ずんだカウンターの中で店主がこじんまりと腰を下ろしていた。カウンターの両脇にはたくさんのランプが置かれ、背後の壁には所狭しと時計が掛けられている。動いているのもあれば、止まっているのもあり、ふいにからくり時計から人形が飛び出してくることもあるので油断がならない。  サキはそれらを警戒しつつ、カウンターを軽く叩いた。  店主は読んでいた本から顔をあげ、 「ご用は?」  と聞いた。  長い三角形の顔に、すっかり白くなっている髪がぼさぼさに生えている。右の頬には大きな痣があり、丸メガネをかけた目は切れ長で、たるんだまぶたの下からじろりとサキを見上げていた。 「髪を」 「まだ短いな。もうちょっと伸びなきゃだめだ」  肩にかかるくらいのサキの髪を見て、店主は不愛想に言った。
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