6 ガラクタ屋

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「今、北で需要が高まってると、ガラクタ屋が言ってた……」  トリンのトパーズの瞳から涙があふれていた。  鳥人の赤ん坊の羽根は透き通るシルクのような純白をしている。それが人間たちの間では、高級素材や装飾品として高値でやりとりされるということは、鳥人たちも知らないわけではなかった。そのために、赤ん坊が盗まれることも決して珍しい話ではなかったのだ。 「サキも手伝って」  サキは暗い顔をする。  どうせ探しても見つからないということは、みんな分かっていることだった。サキの無言をトリンは理解して、さらにしゃくりをあげて涙を流した。 「リラはすごく落ちこんでいるの。自分のせいだって」  リラとは赤ん坊をはじめに見つけた少女だ。 「仕方ないよ。僕たちにはどうしようもないんだから」 「すごくきれいな子だったのに。ピンクのダイヤモンドみたいな……」 「だからだろ」 「あの子はセントラルタワーに置かれてたの。きっと、そのとき、目を、つけられて……」  トリンは泣きながら言葉を続けた。 「私なら、人間のいるところには置かないのに……」 「僕なら」  サキは言葉をためて、 「戻ってこない」  と言った。  トリンは驚いたようにサキの顔を見た。 「鳥人が南から子供を連れて帰ってこなければ、一番良かったんだ」  トリンは罪を怖れるように、口をつぐんだ。
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