次に目を開ける時

1/2
前へ
/2ページ
次へ
「ねえねえ、パパ。寝る前にこの絵本読んで!」 「私も私も!」 まだ幼い子供達がその男にまとわりつく。男は優しく微笑む。 「もちろん、読んであげるよ。でも、その前に歯を磨いてからね。」 「「はーい!」」 二人はとてとてと走っていく。小さな手で一生懸命歯を磨く姿も、磨き終わった後に大急ぎで戻ってくる姿も、全てが愛おしかった。 「じゃあ、読んであげよう。…昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。」 男の読み聞かせを、子供達は目を輝かせて聞いていた。しかし、やがて眠くなったのか、気づけばすやすやと寝息を立てて眠ってしまった。 「寝ちゃったか。それにしても、二人とも可愛いなあ。こんなに可愛い子供達がいて、俺は幸せ者だな。」 平凡と言われるかもしれない。しかし、男にとってはこれ以上の幸せは考えられなかった。 「さあ、俺も明日は早いし、もう寝るか。」 男は子供達を優しく撫でながら、目を閉じた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加