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運命の相手
「彼女はどう?」
「たまに喧嘩はするけど、3人で仲良くやってる」
「それはよかった」
「どうしても行くのか、神崎」
科学者は返事の代わりに腕につけた装置を触った。ビルの屋上に向かって、最新鋭の飛行艇が飛んでくる。
「バーのマスターに扮しての現地調査はもう終わり。まだまだシステムに課題があるからアップデートしないと。しばらくは宇宙基地で開発研究するさ」
「…………」
「大丈夫、君たちは数少ない私の親友だ。それに私は人類と結婚したようなもんだ。いつもシステムでつながっているよ」
白衣をはためかせた神崎は微笑み、飛行艇に乗り込んであっという間に消えた。
「お前の結婚は規模がでかすぎるんだよ」
祐一の呟きは空に吸い込まれていく。
彼はまだ知らない。来年、新妻から妊娠を告げられることを。
3人で子育てに奮闘するにぎやかな日々が続く運命が、彼を待ち受けている。
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