運命の相手

1/1
前へ
/10ページ
次へ

運命の相手

 「彼女はどう?」  「たまに喧嘩はするけど、3人で仲良くやってる」  「それはよかった」  「どうしても行くのか、神崎」  科学者は返事の代わりに腕につけた装置を触った。ビルの屋上に向かって、最新鋭の飛行艇が飛んでくる。  「バーのマスターに(ふん)しての現地調査はもう終わり。まだまだシステムに課題があるからアップデートしないと。しばらくは宇宙基地で開発研究するさ」  「…………」  「大丈夫、君たちは数少ない私の親友だ。それに私は人類と結婚したようなもんだ。いつもシステムでつながっているよ」  白衣をはためかせた神崎は微笑み、飛行艇に乗り込んであっという間に消えた。  「お前の結婚は規模がでかすぎるんだよ」  祐一の(つぶや)きは空に吸い込まれていく。  彼はまだ知らない。来年、新妻から妊娠を告げられることを。  3人で子育てに奮闘するにぎやかな日々が続く運命が、彼を待ち受けている。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加