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適正職業はその人の能力を最大限引き出せるもので、「仕事の向き・不向き」という言葉を死語にした。好きな仕事をするからストレスで悩むこともほとんどなく、人間関係が考慮された職場に配属され、最小限のエネルギーで最大限のパフォーマンスを引き出せることで経済効果も大きく、快適な一生を送ることができる。
特にMOTHERシステム内の「Na:Code制度は既存の結婚観を破壊した。近所、同じ学校、職場――出会いが限られていたこれまでの恋愛とは違い、適切な年齢になれば「運命の相手」と呼ばれる結婚相手を紹介され、結婚する。
結婚の失敗がなくなり、緩やかにではあるが出生数が増えてきている。対して、離婚件数は増えた。長年不満を抱えていた夫婦のどちらかが、「運命の相手」でないことを理由に離婚を切り出したのだ。
これは政府としては予想外だったらしいが、「運命の相手でなかったことが、背中を押してくれました!」と晴れ晴れした顔でインタビューに答える人は幸せそうで、そのニュースの一場面が印象に残っている。
そう、MOTHERは絶対に間違えない。
だから、おかしいのは私だ。
昨夜も賢吾さんから性行為を求められたのに拒んでしまった。
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