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月曜日の出勤前にゴミ出ししていると、犬に会った。二つ隣の家に住んでいるコーギーは人懐っこく、リードを引いて、はち切れんばかりにしっぽを振って、私に突撃してくる。
「おはようございます」
と私は飼い主に話しかけた。飼い主も挨拶を返した。電柱の上でカラスが一声鳴いた。犬はもちろん、何も言わなかった。私は職場に向かった。
職場では彼が話しかけてきた。彼というのは、熱帯魚の彼女を譲ってくれた彼のことである。彼は私に気があるようで、様々なものをプレゼントしてくれるのだが、一方私は彼に気はない。
「またベタが生まれたよ」
「へえ」
私は短く答えた。
「いる?」
おおよそ生命のやり取りをするとは思えない軽さの質問であった。彼女が私の元に来た時も、そんな感じだったことを思い出す。
「いや、もういいかな」
私は彼のプレゼントを断った。
「そっか。飽きた?」
「いいや」
会話が終わった後、私は彼の質問に、全て否定で返してしまったことに気が付いた。
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