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コンビニからホテルに帰ると、ロビーのところにまだ慧とみくちゃんがいて、まゆみに目配せをされる。
慧とみくちゃんかぁ。
私も男子と二人で話すことよくあるし、あんまり気にしてなかったけど、仲良いんだよね。さすがに二人で出かけたりはしてないんだろうけど、学部も一緒だからサークル以外でも会ってるんだろうし。
慧とみくちゃんに何かあるなんて思ったことないけど、まゆみのせいで私までモヤってきた。
「ね、なんかあやしいでしょ」
「かもね」
階段のところでまゆみに話しかけられて頷くと、また距離を詰めてきた。
「何でさっきからそっけないの?」
「え?そっけなくないよ?」
「絶対そっけないよ。こういう系の話振ったら、いつもならもっとノッてくるのに。あ、分かった。仲良しの慧くんがみくちゃんにとられて面白くないんだ」
意外に鋭いまゆみに一瞬言葉に詰まっちゃったけど、どうにか笑顔を作って誤魔化す。
「やめてよ〜。そこまで嫉妬深くないもん。慧が誰と仲良くしても自由だよ」
「だよね。さすがに彼氏でもないんだから気にしないよね」
う……。実は彼氏なんですけどね。
ほんとっにやりづらい〜!!
「そうだよ、変な冗談やめてね」
「ごめんごめん。花音なら他にいくらでも男いるよね」
全く悪びれもせずに満面の笑みを向けてきたまゆみに、私も笑顔を返す。今までの私の行いが悪いせいだけど、なかなかに辛いものがある。
でもやっぱり、この状況で慧と付き合ってるってますます言えないよね。
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