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「———のん。のん? 寝ちゃったの?」
誰かの声が聞こえて目を開けると、楽な格好に着替えた一花が私の顔を覗き込んでいた。
「一花? みんなは?」
「卓球やりにいった」
「あ、そうなんだ」
「うん、慧がロビーに来てほしいんだって。ずっと無視されてるって言ってたけど、何なの? ケンカでもしたの?」
「や、そういうわけではないんだけど、なんというか返信するタイミングをなくしまして……」
半笑いで言い訳していると、一花から訝しげな視線を向けられる。
「ふーん。よく分からないけど、とにかくロビーで待ってるんだって。自分でそれ慧に伝えてきて」
「でももう寝る格好に着替えちゃったからなぁ」
「パジャマじゃないんだし、大丈夫だよ。ちょっと行ってくるだけでしょ」
「う〜ん……。今日はもう寝たって、一花言ってきてくれない? 慧とは明日話す」
ね?と両手を合わせて片目を瞑ると、一花は思いっきり嫌そうな顔をした。
「は? 何でよ。嫌だよ。自分でいってきてよ。明日話すって言って、絶対話さないでしょ。今日行かなきゃダメ」
「相変わらず私に厳しいよね」
「優しくしてほしいなら、もっとまともな人間になって」
「は〜い……」
一花に無理矢理部屋から追い出され、仕方なくロビーに向かう羽目になってしまった。辛い。
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