12、初恋でもないのにね

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「———のん。のん? 寝ちゃったの?」  誰かの声が聞こえて目を開けると、楽な格好に着替えた一花が私の顔を覗き込んでいた。 「一花? みんなは?」 「卓球やりにいった」 「あ、そうなんだ」 「うん、慧がロビーに来てほしいんだって。ずっと無視されてるって言ってたけど、何なの? ケンカでもしたの?」 「や、そういうわけではないんだけど、なんというか返信するタイミングをなくしまして……」  半笑いで言い訳していると、一花から訝しげな視線を向けられる。 「ふーん。よく分からないけど、とにかくロビーで待ってるんだって。自分でそれ慧に伝えてきて」 「でももう寝る格好に着替えちゃったからなぁ」 「パジャマじゃないんだし、大丈夫だよ。ちょっと行ってくるだけでしょ」 「う〜ん……。今日はもう寝たって、一花言ってきてくれない? 慧とは明日話す」  ね?と両手を合わせて片目を瞑ると、一花は思いっきり嫌そうな顔をした。 「は? 何でよ。嫌だよ。自分でいってきてよ。明日話すって言って、絶対話さないでしょ。今日行かなきゃダメ」 「相変わらず私に厳しいよね」 「優しくしてほしいなら、もっとまともな人間になって」 「は〜い……」  一花に無理矢理部屋から追い出され、仕方なくロビーに向かう羽目になってしまった。辛い。
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