12、初恋でもないのにね

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 なんて言い訳しようか考えながらロビーに行くと、一般のお客さんに紛れて慧もいて、とりあえず手を振っておく。私に気がついた慧は真顔で近づいてきて、言い訳をする暇も与えずに私の手首を掴む。 「こっち来てください」 「ちょっと待って。どこ行くの? こんなとこ誰かに見られたら変に思われるよ?」  そのまま私の手を引いてどこかに連れていこうとする慧を小声で咎める。ざっと見た感じ、とりあえずサークルの人はここにはいないけど、いつ誰が来るかも分からない。 「ここでもめてる方が変に思われますよ。誰にも見られたくないならついてきて」  慧に言い返されて反論しようと思ったけど、上手い言葉も見つからずにそのままホテルの外に連れ出される。  駐車場に止まっていたシルバーの乗用車に押し込まれるようにして助手席に乗せられ、私にシートベルトをさせて自分は運転席に座ると、慧は車のエンジンをかけた。  どこに行くのか聞こうと思ったけど、聞ける雰囲気でもないよね。大人しく座っていると、山道を少し走ってホテルから離れたところで慧が車を止め、サイドブレーキを引いた。  慧がシートベルトを外して、少し座席を下げたので、私も同じようにさせてもらう。
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