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「怒ってる?」
車を止めたのはいいけど、何も話しかけてこなかったので私から話を振ると、窓の外を見ていた慧がこちらを振り向く。
「怒ってはないですけど、俺何かしました?」
「何もしてないよ?」
「俺のこと避けてますよね」
「避け、てな」
「なくないです」
ないよ、と言おうとしたところで言葉を被せられ、思わず苦笑いを浮かべる。
「ごめん、今生理中だからちょっと体調悪くて。返信する余裕なくて寝てたの」
「あ〜……。体調悪い時にすみません」
バイキングはモリモリに食べてたくせに、いくら何でもそれは無理があるだろうと自分でも思ったけど、慧も女の子の事情にそこまで深く突っ込めなかったみたい。逆に謝られてしまって、少し罪悪感が募る。
「すみません、気がつかなくて。戻って休みますか?」
「い、いいよいいよ。寝たら体調良くなったし」
申し訳なさそうにしてる慧を見てると、こっちが申し訳なくなってきた。サイドブレーキを戻そうとした慧の手を掴んで止めると、こちらを見た慧と目が合う。
「それより、何か用事だった?」
「特に用はないです。ただ会いたいなと思ってただけ」
ダメだ。本格的に申し訳なくなってきた。
じっと目を見つめられると罪悪感がどんどん大きくなってきて、これ以上嘘を重ねることが出来なくなる。
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