12、初恋でもないのにね

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「怒ってる?」  車を止めたのはいいけど、何も話しかけてこなかったので私から話を振ると、窓の外を見ていた慧がこちらを振り向く。 「怒ってはないですけど、俺何かしました?」 「何もしてないよ?」 「俺のこと避けてますよね」 「避け、てな」 「なくないです」  ないよ、と言おうとしたところで言葉を被せられ、思わず苦笑いを浮かべる。 「ごめん、今生理中だからちょっと体調悪くて。返信する余裕なくて寝てたの」 「あ〜……。体調悪い時にすみません」  バイキングはモリモリに食べてたくせに、いくら何でもそれは無理があるだろうと自分でも思ったけど、慧も女の子の事情にそこまで深く突っ込めなかったみたい。逆に謝られてしまって、少し罪悪感が募る。 「すみません、気がつかなくて。戻って休みますか?」 「い、いいよいいよ。寝たら体調良くなったし」  申し訳なさそうにしてる慧を見てると、こっちが申し訳なくなってきた。サイドブレーキを戻そうとした慧の手を掴んで止めると、こちらを見た慧と目が合う。 「それより、何か用事だった?」 「特に用はないです。ただ会いたいなと思ってただけ」  ダメだ。本格的に申し訳なくなってきた。  じっと目を見つめられると罪悪感がどんどん大きくなってきて、これ以上嘘を重ねることが出来なくなる。
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