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「花音先輩がそう言うなら、とりあえずしばらくは今まで通りでいきますけど。俺とみくが何もないって納得してくれましたか?」
「納得したから、もうこの話やめよ?」
「分かってくれました?」
「うん。慧が他の女の子を好きになっても私恨まないから」
「やっぱり疑ってるじゃないですか」
「バレないようにしてくれたら浮気してもいいけど、出来れば浮気する前に別れようってはっきり言ってくれた方がありがたいかなぁ。私からはそれだけです」
ね?と笑顔を作ると、慧は私の発言に眉をひそめる。
「何でそんなことばっかり言うんだよ。俺がどれだけ花音先輩のことが好きか知ってるだろ。花音先輩以上に好きになれる人なんていないのに」
「以上があるってことは、以下もあるってことだよね」
思わずそんなことを呟いてしまうと、慧の表情がますます険しくなった。
ダメだなぁ。私って相当ひねくれてる。
普通なら喜ぶとこなのかもしれないけど、一番好きとか私だけとか言われると、たまにしんどくなる時がある。
「分かりました、もうスマホ捨てます」
「ねえ〜何でそうなるの? 捨てないでよ」
私の発言も大概だったかもしれないけど、慧もけっこうおかしいよね。いきなりよく分からないことを言い出す慧の手に自分の手を重ねる。
「俺も怪しかったかもしれないけど、何言っても信じてくれないだろ。本当に何もないのに」
「スマホ捨てたら他の女の子と連絡とれなくなるって?」
「うん」
「それさぁ〜浮気がバレて逆ギレしてるようにしか見えないからやめた方がいいよ? それにスマホ捨てたら私とも連絡とれなくなるよ」
「俺はどうしたらいいんですか」
うなだれた慧を見て、本格的に申し訳なくなってきた。
慧のことが好き。慧とずっと一緒にいたい。
いつだってそう思ってるのに、慧と一緒にいると時々辛くなる。慧といると、どうしたらいいのか分からなくなる。
初めても一番も慧は私にくれたのに、私はどっちもあげることが出来なかったのが申し訳なくなる。
もちろん今は慧のことがすごく好きだし、ずっと引きずっていた恩田先輩とヨリ戻したいと未だに思ってるわけじゃない。
ただね、恩田先輩と付き合っていた時の気持ちと今の慧に対する気持ちのどちらが大きいのかと聞かれたら、正直迷ってしまう。
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