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翌日、一限から授業があったので少し早めに行くと、教室にはまだほとんど人がいなかった。一番後ろの席に座っていた一花を見つけ、その隣に座る。一花金髪だし目立つから、すぐ見つけられて助かるよね。
「眠いの?」
あくびばっかりしていると、スマホをいじってた一花も見かねて話しかけてくる。
「昨日、というか今日?二時間しか寝てないんだ。もし寝てたら起こして」
「何してたの?」
「慧とずっとヤッてた」
「は? のんはともかく慧まで何してるの」
「相変わらず私の扱いひどいよね」
聞かれたから答えただけなのに、いきなり辛辣な一花に苦笑いを返す。
「なんかね、みくちゃんと慧が頻繁に連絡とってて。で、色々話してるうちにそういうことになったの」
「みくちゃんと慧が?」
横目でこちらを見た一花に頷いて、昨日あったことをざっくりと話すと、一花はうーんとうなってから首を傾げた。
「みくちゃんと慧でしょ? 何もないと思うよ? 人の彼氏に手出すような子じゃないでしょ」
「たぶんみくちゃんは私と慧が付き合ってること知らないと思う」
「あ〜そっか。……ん?ねぇ待って。付き合ってること内緒にしたいって言い出したの、のんだよね? 慧はみんなに言いたいって言ってて、みくちゃんにも言っていいって言ったんだよね?」
一瞬納得しかけておいて眉をひそめた一花に、うんと頷く。
「それなら、本当に何もないんじゃない?
慧の方から付き合ってること内緒にしたいって言い出して、それで他の女の子とこそこそ連絡とってるなら、こいつ絶対やってんなって思うけどさ」
「私も本気で疑ってるわけじゃないけど、でもね〜」
「何なの?」
訝しげな視線を送ってくる一花から目をそらし、小さく息をつく。
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