13、どうすればいいのか分からないんです

13/16
前へ
/226ページ
次へ
「のんが恩田先輩のこと大好きだったのは知ってるけど、過去の気持ちと今の気持ちを比べる必要ある?」 「どういうこと?」 「慧に内緒で今でも恩田先輩と会ってるとかなら問題あるけど、そうじゃないでしょ?」 「誓って会ってない。連絡もとってないし」 「それならいいじゃん。何も悪いことしてないんだし、誰だって忘れられない過去の一つや二つあるよ。過去は過去、今は今じゃないの?」  真顔で言われて、ぐっと言葉に詰まる。  浮気してるわけじゃないし、たしかに悪いことをしてるわけじゃないかもしれない。いくら私が恩田先輩を忘れられなくても、先輩とヨリ戻せる可能性なんてゼロに近いし。  一花の言ってることは分かるけど、なんとなく気持ち的に罪悪感があるというか。  新しい恋をしたら、前の恋が上書きされる仕組みならいいのに。他の人は消せても、恩田先輩は私の心の一番深いところにいつまでも居座ってて、どうしたって消えてくれない。  慧のことが大好きなのに、いつまでも恩田先輩を忘れられない自分が嫌になる。 「そんなに簡単に割りきれるものでもないよ」 「まあね」    呟くようにそう言うと、一花はまたスマホをいじりながら返事をする。さっきからスマホばっかり見て、何なの?
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加